2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21540198
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松山 登喜夫 中央大学, 理工学部, 教授 (70249712)
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Keywords | キルヒホッフ方程式 / 分散型評価 / 散乱問題 |
Research Abstract |
本研究の目的はキルヒホッフ方程式の散乱問題、特に非線型散乱を導出することである。時間に依存する係数を持つ線形双曲型偏微分方程式の分散型評価式またはStrichartz評価式を導出することが散乱問題を展開するうえで核となる。 今年度は時間に依存する係数を持つ線形方程式の解に対する散乱・非散乱を与える係数の減衰率の分類を行った。この結果は2階の単独線形方程式を含むより一般な双曲系方程式に対して議論がなされている。これらの結果は論文としてまとめ上げられ海外の専門誌に投稿中である。 今年度のもう一つの成果は、キルヒホッフ方程式系の大域解の一意存在を証明したことである。古典的なキルヒホッフ方程式については過去に多くの結果が知られている。キルヒホッフ方程式系についてはCallegari-Manfrinによる結果しかない(J. Differential Eq. 1998)、我々は彼らが考えた初期値のクラスを拡張し、より普遍的な結果を得ることに成功した。この結果も論文としてまとめ海外の専門誌に投稿中である。 以上の成果はImperial College London教授のM.Ruzhansky氏との共同研究に基き、8月にモスクワで開催されたIsaac Congressで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度出版された論文はないが、得られた成果は海外の専門誌に投稿できる段階に達している点では、研究計画に沿う方向に向いているもの思われる。さらにこれらの成果は数学的にも深く、本研究以外にも有用性のあるものと確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた成果は来年度中には出版されるようにし、べき乗型の非線形項を有するキルヒホッフ方程式の時間大域解の一意存在の証明に応用することを検討中である。さらに時間的余裕があれば本研究の目的であるキルヒホッフ方程式の非線型散乱にも着手したい。
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