2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540198
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松山 登喜夫 中央大学, 理工学部, 教授 (70249712)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | キルヒホッフ方程式 / 線形双曲型方程式系 / 散乱問題 / 分散型評価式 |
Research Abstract |
本年度は変数係数を有する線形双曲型偏微分方程式系の散乱問題、キルヒホッフ方程式系の時間大域解の適切性および外部領域におけるポテンシャルを有する波動方程式に関連するベゾフ空間の性質を解明した。 第一の成果は、時間に依存する係数を有する線形双曲型偏微分方程式系の解に対して、変係数の漸近挙動の観点から散乱・非散乱現象を解明したことである。すなわち係数とある定数の差がリーマン積分の意味で可積分であれば散乱が起きることと散乱作用素の存在が証明された。可積分でない場合は散乱が起きないことを簡単な議論で証明した。証明のアイディアは常微分方程式論で確立されている漸近積分の方法を駆使したことである。第二の成果は、小さな初期値を有するキルヒホッフ方程式系の時間大域解を構成したことである。初期値は最も弱い微分可能性をもつソボレフ空間と振動積分で記述されるクラスに属している。この結果は古典的なキルヒホッフ方程式とキルヒホッフ方程式系に関する既存の結果をすべて包括したものとなっており、査読者から高い評価を得た。第三の成果としては、本研究の目的の一つである双曲型偏微分方程式系のストリッカーツ評価式に関連した研究で、外部領域におけるポテンシャルで摂動されたシュレディンガー作用素から生成されるベゾフ空間と通常のベゾフ空間との同型性定理を得た。この結果は外部領域におけるポテンシャルを有する波動方程式の分散型評価式とストリッカーツ評価式を証明する際、重要な道具となる。この結果を証明するには、外部領域における拡張されたハーディーの不等式が本質的な役割を果たしており、一般化されたフーリエ変換を用いて示されている。 以上の結果は当該年度に論文としてまとめ国際雑誌から出版されることになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
線形双曲型方程式系の解を、幾何光学的に表示する議論がまだ満足がいく状況ではなく、したがって分散型評価式もまだ証明されていない。今年度中には解決したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
線形双曲型方程式系の解を、幾何光学的に表示し分散型評価式を今年度中には解決したく、さらなるアイディアを模索する。分散型評価式の導出が得られた後、キルヒホッフ方程式の散乱問題に取り組む予定である。
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