2011 Fiscal Year Annual Research Report
2次元 polynomial skew products の力学系の研究
Project/Area Number |
21540203
|
Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
中根 静男 東京工芸大学, 工学部, 教授 (50172359)
|
Keywords | Axiom A / polynomial skew product / saddle basic set / relation / base Julia set / solenoid |
Research Abstract |
本研究においては、Axiom A polynomial skew productsの複素力学系について、特にsaddle basic setsの間のrelationsの存在が危点集合の挙動にどのような影響を及ぼすかを解明することを目的とする。危点集合の集積点集合として、通常の集積点集合Aと、pointwiseの集積点集合Apt,componentwiseの集積点集合Accの間の関係について、これまでに、 1.A=Apt及びAcc=Aptという性質のsaddle basic setsによる特徴づけ、 2.base Julia setが不連結のとき、A=AccならばA=Aptを満たすことの証明、 3.A=Apt及びAcc=Aptという性質の安定性 等を示すことができた。その中で、Jp上のsaddle basic setsの間のrelationsが存在するための危点集合による特徴づけを与えることもできた。このような事実は知られておらず、意味のある結果と思われる。23年度には、それらを論文にまとめたものを雑誌Ergodic Theory and Dynamical Systemsに投稿し、最近になって掲載が決定した。 これまではbase Juliaset Jp上のsaddle basic setsのみを考察していたのだが、base sink set Ap上のsaddle basic setsも考慮して、ある条件の下でJP上のsaddle setとAp上のsaddle setの間にrelationsが存在しないことを証明することができた。また、性質がよくわかっている写像をうまく摂動することにより、solenoidをsaddle basic setとして持つような写像の例をいくつか構成することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は1次元複素力学系の研究で培った方法を使って問題を解こうと考えていたが、21年度に、saddle basic setsを考慮する必要があることがわかり、高次元実力学系の理論を勉強してその方向で考察することにより、いくつかの問題を解決することができた。その結果をまとめた論文を23年度に投稿し、掲載が決定した。以上の経過から、研究は順調に進展していると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
Ap上のsaddle setとJp上のsaddle setの間のrelationの非存在に関する結果を用いて、Ap上のsaddle setのstable set上のexternal raysがsecond Julia setに着地することを示す。その際にはBedford-Jonssonの理論が役に立つ。Ap上のsaddle setのholomorphic motionが大域的に存在しない場合に、relationの有無を含めて、どういう現象が起こるのかを解明する。Jonssonの例がAxiomAでないが奇妙な性質を持っていて示唆的であり、この例の性質をさらに解析することは重要である。Saddle set上での写像の次数とsaddle setの断面のHausdorff次元の関係を調べたMihailescuの結果も興味深く、今後の研究課題として、もっと解析する必要があると思われる。
|