2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540206
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
津田谷 公利 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60250411)
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Keywords | ディラック方程式 / ハートリータイプ / 時間大域解存在 / 散乱理論 / 漸近挙動 |
Research Abstract |
ハートリー型のディラック方程式および半相対論的ハートリー方程式について研究の進展が見込まれたため,これらの方程式に絞って時間大域解存在・散乱問題に関する研究を行った. ディラック方程式について: 一般化されたハートリー型のディラック方程式については,研究代表者と連携研究者の町原秀二氏による研究成果をまとめた論文が2009年に学術雑誌に発表された.この結果を基にして,ポテンシャルの冪についての条件がさらに弱められないかどうか,連携研究者の中村誠氏と討論を重ねた.その結果,2つのタイプの時空評価式を使うことによって,ポテンシャルの冪についての条件を以前より弱めて散乱作用素を構成することに成功した.特に通常のハートリータイプに対しては,ポテンシャルの冪の下界を1/2下げることができ,また町原氏との共同研究では扱えなかった空間2次元の場合も含めることができた.この成果をまとめた論文は学術雑誌に投稿した.その後,証明を見直したところ,時空評価式の代わりにある減衰評価を用いると一部の計算は易しくなり,初期値の滑らかさの仮定も弱まることが判明した.ただし,空間1次元については,この滑らかさの仮定を弱めるためには非線型項についてある制限が必要となる. 半相対論的ハートリー方程式について: これまでに知られている時間大域解存在の結果ではポテンシャルの冪の条件にギャップがあった.上に述べたディラック方程式における手法を適用するとこのギャップは一部埋まることが明らかになった.空間4次元以上では完全にギャップが埋まる.3次元では臨界値を除いて埋まる.そのため問題の解決にかなり近づいたと言える.
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