2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540206
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
津田谷 公利 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (60250411)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 波動方程式 / ディラック方程式 / ハートリータイプ / 散乱問題 / 時間大域解 / 漸近挙動 |
Research Abstract |
2012年度は空間3次元におけるハートリー型波動方程式で興味深い結果が得られそうであったのでこの方程式について集中的に取り組んだ. 初期値が無限遠方で速く減衰する場合:時間大域解存在および散乱作用素の存在で臨界条件が含まれる場合を突き止めた結果,存在証明が完成した.着目すべき点としてポテンシャルがクーロンポテンシャルであるときでもある条件の下,散乱作用素が存在することが明らかになった.証明が長いので,まず合成積の評価についてまとめた論文を学術雑誌に投稿した.次に散乱作用素の存在結果に関してまとめた論文を別の学術雑誌に投稿した.また,共同研究者の Karageorgis 氏と研究打ち合わせを行うため彼の所属先であるトリニティーカレッジを訪問した際,偏微分方程式セミナーでこれらの成果を発表した. 初期値が無限遠方で遅く減衰する場合:いくつかの条件がみたされている場合時間大域解が存在すること,さらにある条件を仮定すると散乱作用素が存在することを示した.逆にこの条件がみたされない場合時間大域解が漸近自由にならないことがあることも証明した.ハートリー型でも冪乗型波動方程式と同じ現象が現れることになり,興味深く思われる.ただし,初期値の無限遠方での減衰度が -2 であるとき,評価式に対数関数が現れたため,当初時間大域解の存在証明では臨界条件を除いていた.しかし,共同研究者である Karageorgis 氏と研究打ち合わせ・意見交換を行った結果臨界条件を含めることができた.成果がまとまったので論文の投稿準備に入った.以上の結果はポテンシャルの減衰が速い場合である. ポテンシャルが無限遠方で遅く減衰する場合:解の爆発が起こることを証明しようと計算していたがなかなか示せなかったので方針を転換し時間大域解の存在証明に取り組むことにした.その結果大まかな計算では時間大域解が存在することを示せた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
空間3次元における波動方程式についてポテンシャルの減衰が遅いとき解の爆発が起こると予想して証明しようとした結果時間を取られてしまったことによる.
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Strategy for Future Research Activity |
空間3次元についてはほぼ結果が出たので空間2次元におけるハートリータイプの波動方程式に関して研究を進めていく.まず初期値が無限遠方で遅く減衰する場合を考察する.研究が進展しない場合は対応策として共同研究者のKarageorgis氏と意見交換を行う.
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Research Products
(1 results)