2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540210
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
WILLOX Ralph 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20361610)
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Keywords | 可積分系 / セルオートマトン / 超離散系 / 離散系 |
Research Abstract |
本研究の目標は、超離散系として記述できるセルオートマトンの解を系統的に考察するための手法を打ち立てることである。特に、超離散可積分系を付随のDarboux変換と共に構成するための手法を打ち立て、その手法によって超離散可積分系の厳密解を生成すること及び超離散可積分系に対応するYang-Baxter写像(Yang-Baxter方程式の集合論的な解)の代数的な構造を解明し、そのYang-Baxter写像の対称構造と幾何crystal理論を結びつけることを目的とする。また、超離散系に厳密解として記述できない現象が現れる場合、その現象と普段に離散系や連続系における現象との相違点をコンピュータ・シミュレーションによって明確にする予定である。 本年度は、このプログラムに関して以下の具体的な研究成果を得た。 1.連続KdV方程式の場合に成り立つCrum-Darboux定理の超離散KdV方程式への拡張により、整数全体で定義されている超離散KdV方程式における初期値問題を解くことに成功した。特に、任意の整数上の初期状態が超離散KdV方程式の時間発展によってソリトンの列と速度1で進む「背景」に分離することを示し、一般の背景と単独のソリトンとの相互作用によるphase-shiftを厳密に計算するこたができた。 2.QRT写像の新しい拡張を構成し、それらの不変量が定める「correspondence」という力学系を考察した。一般のcarrespondenceの場合、像の数は指数関数のように急増するが、多項式のような増加を示し、可積分系であるcorrespondenceも存在する。新しく構成した可積分なcorrespondenceによる像の増加率は同一の組み合わせ論的な量で記述できることを示した。 3.高々2つのtau函数で双線形化できる離散可積分系を結びつける様々なMiura変換を考察し、有名なmodified KdV方程式とsine-Gordon方程式の離散化は,実際,同一の離散系であることを判明した。
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