2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540213
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
吉田 裕亮 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (10220667)
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Keywords | 関数解析学 / 作用素環論 / 非可換確率論 / 変形分布 / 分割統計 |
Research Abstract |
通常の確率論の場合,乗法的合成積は非常に自明であるが,非可換確率空間の場合,乗法的合成積は真に非可換性が反映されたリッチな議論が可能な世界である.Dykema氏により自由独立性に基づく自由確率論の場合に,モーメントと乗法的半不変量の組み合わせ論的な考察がなされた.その結果,「絡み有り非交叉分割」が重要な役割第りを果たすことが導かれた.研究代表者はこの「絡み有り非交叉分割」が自由確率論において無限分解可能な分布の多くを包括するMeixnerタイプの分布に密接に関連することを最近、指摘した.本課題の平成21年度においては,この拡張された集合分割の概念を非交叉に限らない一般の場合に拡張することにより,「絡み有り分割」を考え,交叉数のq-数え上げを行うことによりMeixnerクラスのq-変形分布をもつ作用素がq-Fock空間上で構成可能であることを明らかにした.この結果はポーランドアカデミー主催の国際会議で発表し,現在学術雑誌への投稿の準備を行っている. さらに平成21年度では,自由確率空間におけるフィッシャー情報量距離に関する研究も行った.これはMeixnerクラスの確率分布はFisher情報量から見て特徴的な分布であり,幾つかの分布のFisher情報量による特徴付けも知られているためである.このことから,本結果はMeixner分布族のq-変形と両立するようなフィッシャー情報量の変形への基礎となるものと期待される.自由確率論におけるフィッシャー情報量距離に関する研究結果は,この分野の世界的権威のブタペスト工科経済大Petz教授と研究討議を行い,学術雑誌への投稿を行った.
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