2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540216
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
角 大輝 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40313324)
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Keywords | 解析学 / 複素力学系 / カオス / フラクタル / 確率複素力学系 / 協調原理 / 有理半群 / 複素特異関数 |
Research Abstract |
リーマン球面上の有理関数で生成された写像の合成を積とする半群を有理半群とよぶ。その力学系や、ランダムな複素力学系、フラクタル幾何学で現れる自己相似系などの全てを,同時に統一的に研究した。そもそも多項式力学系は数理生物学などの様々な分野の数理モデルで扱われているが、環境などの変化に応じて戦略(写像)が確率的に変化する状況が考えられるわけであり、このことからしてランダムな多項式力学系を調べることは自然であり、重要である。そしてその解析を深く行うためには、初期値空間を複素数まで広げることが必要となるのであり、このことからランダムな複素力学系は自然科学全体にわたって極めて重要であると思われる。ランダムな複素力学系については、一つ一つの写像がカオス的部分(ジュリア集合)を持っているので、ランダムにするとますます系全体がカオス的になるのかと思われがちだが、私は実はそうではなく、反対にほとんどの場合で複数の写像の協力により平均的システムのカオスが消滅してしまうことを示した。また、ある状況下でその極限状態に現れる複素平面上の特異関数と呼ぶべき新しい対象物を詳しく研究した。また、システムの安定性や分岐についても詳しく解析した。特に、安定なシステムの空間がシステム全体の空間の稠密開集合を含むことを示した。これらの結果は数学のほか物理学のカオス理論の研究者にとっても大変にインパクドを持つものとなった。これまでに数値実験で(理論的サポートはほとんど無しで)ランダムな実一次元力学系でカオスが消えうるということが北大の津田氏など多くの物理学者によって観察されていたが、そのようなことが、複素一次元では実際に頻繁に起きるのだということを、完全に理論的に証明してみせたことになっている。得られた結果は、アメリカで行われた二つの国際研究集会や、国内のいくつかの研究集会で発表した。発表のたびに、数学者のほか物理学者から多くの反響があった。また、アメリカのM. Urbanski氏と拡大的有理半群のジュリア集合のハウスドルフ次元の下からの評価についての共同研究を行い、論文にまとめて雑誌に投稿した。さらに、アメリカのR. Stankewitz氏と臨界値集合が有界な多項式半群の力学系の研究を行った。
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Research Products
(14 results)