2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540225
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
伊藤 雅彦 Tokyo Denki University, 未来科学部, 准教授 (30348461)
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Keywords | 超幾何級数 / ジャクソン積分 / ワイル群 / 差分方程式 / セルバーグ型積分 |
Research Abstract |
BCn型ジャクソン積分が満たすホロノミックq-差分方程式系を一階連立差分方程式系で表したときの係数行列を求めるのが21年度の一つの目標であった。そのために、最もランクが低いn=1の場合のBC_1型ジャクソン積分の満たす方程式系を詳細に調べた。一階連立差分方程式系を表示するには、方程式の基底を特別に指定する必要があり、基底として望ましいものを発見した。その基底を元に方程式の係数行列のガウス分解(LU分解)を求めると、係数行列のどの成分も二項式の積で表示できるという著しい性質があることがわかった。またその方程式のパラメータを制限すると、行列のランクが1に退化し、アスキーウィルソン型の積分のq-ガンマ関数による積表示の別証明が得られる。以上の結果を応用とともに記述した論文を、雑誌SIGMAに発表した。また、BCn型ジャクソン積分を調べるために、その元となるセルバーグ型積分の隣接関係式(差分方程式)をメルボルン大P.J.フォレスター氏とともに研究した。セルバーグ型積分の隣接関係式を求める際に、基本となる三項間関係式を見つけた。この関係式はガウスの超幾何関数の2つの隣接関係式を特別な場合として含んでいる。この関係式は、ある多項式(ここでは「補間多項式」とよぶ)に付随して定義され、この三項間関係式を繰り返し使うことで、隣接関係式が導けることがわかった。また、その応用として、物理におけるセルバーグ型一点相関関数の新たな計算法も示した。この内容は日本数学会秋季分科会で紹介した。
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