2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540234
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
山内 茂雄 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60260410)
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Keywords | X線 / X線スペクトル / 銀河面X線放射 |
Research Abstract |
(1)銀河面X線放射の観測 銀河面X線放射が点源の重ね合わせのスペクトルとして再現できるかを調べるため、観測時間が長く、統計の良いスペクトルが得られた3地点の観測データに対して、RS CVn型の星のスペクトルと白色矮星連星系のスペクトルの混合のモデルを仮定して解析を行った。その結果、スペクトルはこのモデルでおおむね説明でき、鉄輝線を含む4keV以上のバンドでは白色矮星タイプのスペクトルがその大部分を担っていることが分かった。このことは、銀河面X線放射が点源の重ね合わせであるならば、RS CVn型の星ではなく、白色矮星連星系が大部分を担っていなくてはならないことを示す。しかし、その場合には現在見積もられている白色矮星連星系の空間密度よりも高密度でなければならないことが分かった。また、連続成分の温度は必ずしも一様ではなく、ばらつきがあることも分かった。観測時間の短い他の観測点について、同様の解析を行っていく予定である。 (2)超新星残骸、および広がった構造を持つX線天体の観測 銀河面上に位置するいくつかの超新星残骸からのX線放射の特徴を調べた。輝線の構造を手がかりに、X線放射の物理状態について検討を行った。また、銀河面に位置する広がった構造を持つX線天体のスペクトルに見られる輝線が、赤方偏移した鉄輝線である可能性が高いことが分かった。このことから、この天体は天の川銀河の背景に位置する銀河団である可能性が高いと考えられる。
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