2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540234
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
山内 茂雄 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60260410)
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Keywords | X線 / X線スペクトル / 銀河面X線放射 |
Research Abstract |
銀河面X線放射の起源を探るため、「すざく」衛星を用いて観測した銀河中心、銀河円盤領域、銀河バルジ領域のデータの解析を行った。以前の解析にデータを追加し、あわせて30点となったデータを用いて銀河系内の特徴を系統的に調査した。その結果、先の研究で示されていたように3本の輝線はどの領域にも見られるが、6.97keVと6.7keV輝線の強度比は、銀河中心領域で高く、銀河円盤領域で低くなることを確認した。銀河バルジ領域においては、3本の輝線強度は少なくとも銀河面から2度離れた地点にも見られ、銀河円盤の厚みより広がって分布していること、6.4keV輝線の強度は銀河中心・銀河円盤領域よりも弱いこと、6.97keVと6.7keV輝線強度比は銀河中心領域の値に近いこと、等がわかった。また、いくつかの観測地点で得られた光子統計の良い1-10keVのバンドのスペクトルを、晩期型星連星系と白色矮星連星系のスペクトルを足し合わせたモデルで再現することを試みた結果、連続放射の形状はおおむね再現できるが、鉄輝線の強度を再現することが難しいことを確認した。もし銀河面X線放射のすべてが点源の集合であるならば、それは白色矮星連星系のような硬い連続放射スペクトルに加えて強い鉄輝線を持つ微弱な天体であり、銀河円盤領域と銀河中心・銀河バルジ領域とで輝線の特徴が異なっているということを示唆する。 銀河系内におけるエネルギー供給源であり、高温プラズマガスからのX線放射を持つ超新星残骸の研究も行い、これらの天体の持つ性質を明らかにした。また、銀河円盤領域の観測データ中に銀河団を発見した。これは天の川の天体による光にじゃまされるため、これまでに見つかっていなかった天の川銀河の背後に位置する銀河団を発見したもので、透過力の高いX線観測がこのような天体の発見にも有効な手段であることを示した。
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Research Products
(4 results)