2011 Fiscal Year Annual Research Report
星間分子の遠赤外域探査に備えた分子・イオンの高精度遠赤外分光
Project/Area Number |
21540238
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松島 房和 富山大学, 理工学研究部(理学), 教授 (40142236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 喜紀 富山大学, 理工学研究部(理学), 教授 (90270470)
小林 かおり 富山大学, 理工学研究部(理学), 准教授 (80397166)
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Keywords | テラヘルツ / 遠赤外 / 電波天文学 / 分子イオン / 分光学 |
Research Abstract |
(1)N_2H^+イオンの分光と,extented negative glow放電セル中のイオン温度の評価 放電セル中の分子イオンの温度はイオンの分光検出感度に直接関係するので、非常に大切な実験条件である。前年度の研究をさらに進めて、N_2H^+イオンのスペクトル線強度をもとた温度を詳しく調べた。その結果,extentednegativeglow放電セル中のイオン分子の温度はN2H+では約130Kで、冷媒の液体窒素の温度に近いことがわかった。これは通常のグロー放電セル中のイオン温度が500K程度あるのに比して非常に低く、今後さまざまなイオン種について分光実験を行ううえで重要な知見となった。これについては2件の国際会議(招待講演)で報告をした。 (2)H_2F^+イオンの分光(公表論文を作成中) 星間空間にはClと同程度のF原子があり、H_2Cl^+イオンがすでに見つかっていることから、H_2F^+イオンも近いうちに発見されると期待されているが、その探査めための周波数がまだ精度良く求まっていなかった。そこで、カナダのWaterloo大学、岡山大学との共同研究でこのイオン分子の回転スペクトルを検出し、7本の回転遷移についてその周波数を正確に決定した。もっともエネルギーの低い準位からの遠赤外遷移周波数が得られたので、近い将来、遠赤外域の天文観測によりH_2F^+イオンが発見されるであろうと期待される。 (3)放電管用ガラス多重セルの簡便な製作法の開発 放電管の内部は気体の放電によるスパッターで汚れや損傷が進み、それがイオン分子の生成効率に大きく影響する。損傷の進んだ管を交換する際に高度なガラス細工の技術者の助力が必要であるが、近年、技術者任用の厳しい状況があるので、ガラス細工の部分の極力少ないセルを考案した。
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