2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540245
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大越 克也 Tokyo University of Science, 基礎工学部, 講師 (50453832)
|
Keywords | クエーサー吸収線系 / 銀河 / 銀河形成 / DLA / 理論天文学 |
Research Abstract |
申請書記載の各研究課題に関する平成21年度に行った研究実績は以下の通りである。 (A)DLA母銀河の探査に関して。2010年1月にGemini望遠鏡(ハワイ島)に於いて、補償光学装置(AO)を用いたDLA母銀河観測を実施した(2晩)。現在、観測結果を解析中である。併せて、すばる望遠鏡やKeck望遠鏡によるAOを用いた同様な観測計画を作成した。 (B)MgII系の進化に関して。高赤方偏移(z>2)における弱い吸収線(Weak MgII)系に関してCLOUDYコードを用いて、その物理的・化学的状態の考察・検討を、東京大学の研究グループらと行った。この成果に関して、現在、論文作成中である。 (C)吸収線系理論モデルの構築に関して。中性水素吸収線系(DLAおよびSub-DLA)の起源と進化を近傍銀河と比較することによって調べた。ある中性水素質量以下では、近傍銀河はクエーサー吸収線系のsub-DLAの母銀河として観測されることが判明した(論文出版)。このことから、低赤方偏移においては、DLAなどの中性水素の多いクエーサー吸収線系は銀河円盤を起源とすることが示唆される。本研究成果は、現在進められている電波観測に有益な知見を与えるものである。この結果を踏まえ、高赤方偏移におけるクエーサー吸収線系と原始銀河との関係を考察するため、数値シミュレーション(νGC)の結果に基づく理論モデルのコードを開発している。 以上の研究実績の他に、「クエーサー吸収線系研究会」を、長崎県雲仙市で開催した。これは、観測と理論研究者が交流し、活発な議論及び意見交換が行われた。これは、本研究課題に関する研究推進を目的とする萌芽的ものであり、今後も継続的に開催する予定である。
|