2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540245
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大越 克也 東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (50453832)
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Keywords | クエーサー吸収線系 / 銀河 / 銀河形成 / DLA / 理論天文学 |
Research Abstract |
申請書記載の各研究課題に関する平成23年度に行った研究実績は以下の通りである。 「クエーサー吸収線系の起源及び進化の解明」という目的のもと、本年度は、水素吸収線系のうちも最も高い中性水素密度をもつDLA母銀河の起源に関する研究を中心に行った。まず、銀河形成モデルに基づく準解析的モデルを用いて、DLAの金属度に対する星形成率を定量的に算出した。その結果、金属度の高いDLA及びsub-DLAは、質量が小さい(星質量も含む)のに対して、高い中性水素密度を保ちながら、星形成率が高い系が統計的に多数であることを示した。 その結果に基づき「DLA母銀河探査」に関する観測計画を立案し、採択のもと、Keck望遠鏡およびGemini望遠鏡(共にハワイ島)にて、補償光学装置(AO)を用いた観測を2011年9月~12月に実施した。主に4つのDLAをターゲットに選定し、その近傍領域の輝線検出(撮像および分光)を試みた。 観測条件等が不十分であったが、現在、観測結果を解析中である。 また、従来から進めてきたヨーロッパ南天文台(ESO)のグループとの共同研究により、同様な観測を実施し、DLA母銀河(赤方偏移z=2.6)の検出に成功した。その結果、金属度の高いDLAは明るい銀河と強い相関をもち、母銀河および周辺領域でのダスト(空間分布やタイプなど)や水素分子の存在も初めて示唆された。この結果を現在解析中の観測結果及び理論モデルにフィードバックし、今後の成果につなげる予定である。
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