2010 Fiscal Year Annual Research Report
多波長観測による銀河リッジX線放射の起源天体の研究
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21540249
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
海老澤 研 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (70421857)
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Keywords | X線γ線天文学 / 光学赤外線天文学 |
Research Abstract |
銀河面から一様に放射されている銀河リッジX線放射の起源を探るために、X線、近赤外線を用いて、観測研究を行った。X線ではすざく衛星、Chandra衛星を用いた。赤外線では南アフリカのIRSF望遠鏡を用いた。 X線では、Chandra衛星による銀河中心付近の深観測領域のアーカイブデータの解析を行うと同時に、すざく衛星で同じ領域の追観測を実施した。それによって、Chandraとすざくで、リッジX線放射の強度にほとんど違いがないことを確認した。その一方、それはリッジ点源説の立場に立つ論文中で報告されているリッジX線放射の強度よりも有意に大きいことがわかった。これは、点源だけでは説明できない拡散成分の存在を示唆している。また、リッジX線放射中の鉄輝線強度の銀緯依存性を調べ、鉄輝線の等価幅には銀緯依存性があることを発見した。もしも点源の種類が銀緯によって変わらないとすると、その観測を説明することが困難である。仮に拡散成分が鉄輝線を持たず、それが点源よりも大きなスケールハイトを持っていると、これらの観測はうまく説明できることがわかった。また、すざく衛星を用いて、銀河リッジX線放射の起源天体候補である激変星の性質をシステマティックに調べた。近赤外線では、Chandra深観測領域のフォローアップ観測を行い、X線天体を近赤外線で同定し、それらの種族分類を試みた。それによって、銀河面リッジX線放射を構成しているのは、白色矮星、活動的連星(active binary)、共生星(symbiotic binary)であることがわかった。
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Research Products
(4 results)