2011 Fiscal Year Annual Research Report
太陽コロナ観測用X線フォトン・カウンティング望遠鏡に向けたCMOSディテクタ開発
Project/Area Number |
21540251
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
成影 典之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (50435806)
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Keywords | 太陽 / コロナ / 光子計測 / X線 / CMOS |
Research Abstract |
我々は、次期太陽観測衛星SOLAR-Cに搭載する次世代X線望遠鏡の検討を進めている。この望遠鏡は太陽観測ではこれまでに行なわれたことのない光子計測型の軟X線撮像観測により、フレアにともなう粒子加速や衝撃波の形成、およびプラズマの加熱過程など、太陽コロナが示す多様な磁化プラズマ活動現象の物理過程を明らかにすることを目的としている。しかし、太陽からの軟X線フラックスは非常に大きいため、本望遠鏡の焦点面検出器には高速の画像読み出しが可能なCMOS撮像センサーが不可欠である。本研究課題では、このセンサーの開発を目指している。 平成23年度は、最新の低ノイズ型裏面照射型CMOSデバイスを入手し下記の評価を行った。 まずは、露光時間を変えてダークデータを取得し、その分散から本CMOSデバイスの特徴である読み出しノイズを暗電流と共に評価した。読み出しノイズは、1露光につき約4electronと高い性能を示した。 次に、Fe55から生じるX線(MnK-α=5.9keV,MnK-β=6.4keV)を用いた照射実験を行い、10ミリ秒露光で取得した約5000枚のデータを解析することで、本デバイスが以下の特性を持っていることを評価した。(1)ディテクタに入射した光子1つが作る電子雲の半径は1ピクセル以下である。(2)1光子が作ったシグナルが1ピクセル内に収まるイベントの割合は、約4割に達していた。(3)これらのイベントのみを集めてエネルギースペクトルを作ると、MnK-αとMnK-βの2つのラインが十分に分解出来る(チップ温度43℃で、分解能250eV)。 これらの結果は、我々が昨年度までに評価した2年前のCMOSデバイスと比べ、飛躍的に性能が上がっていることを示している。供給メーカーの開発計画と我々の評価結果を合わせて判断すると、太陽光子計測型望遠鏡に用いる裏面照射型CMOS検出器の実現性は高い。
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