2010 Fiscal Year Annual Research Report
非可換空間上の位相的ソリトンと低エネルギー物理現象
Project/Area Number |
21540254
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
江澤 潤一 独立行政法人理化学研究所, 川合理論物理学研究室, 客員研究員 (90133925)
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Keywords | 非可換空間 / 非可換ソリトン / 量子ホール効果 / トポロジカルソリトン / スカーミオン / メロン対 / 量子位相 / 2層量子ホール系 |
Research Abstract |
非可換空間上の場の理論に現れるトポロジカル・ソリトンの研究を行っている.非可換空間が実現している最も単純な系は量子ホール系である.この系には,非可換性に起因する量子位相現象として非可換スカーミオンが現れる.この様な状態は電子状態にW_∞変換とよばれるユニタリー変換を施して生成できることを既に証明している.1層量子ホール系では,スピンを反転する非可換スカーミオン励起によって活性化エネルギーの実験データは良く説明できる.さて,2層量子ホール系では2層間に跨がったスカーミオンが生成される.このスカーミオンは1層量子ホール系に現れるスカーミオンと類似している.しかし,2層系では系を決めるパラメーターが多すぎて解析が困難である.1層系スカーミオンで成功した近似方を応用して微視的理論を解析したが,実験データを説明できない.この問題を解決するため,長波長近似の非線形シグマ模型でスカーミオン励起を解析し,近似法を改良した.その結果,2層間の電子密度を変化させる実験でのデータの説明は可能になった.対応する微視的理論も構成した.しかし,2層間に横磁場を導入したときのデータの解析は,励起が小さなスカーミオンと見なせる場合を除き,満足できる状況にない.1層系は容易軸(easy-axis)強磁性,2層系は容易面(easy-plane)強磁性と見なせる点にこの問題を解く鍵が存在すると思われる.現在,容易面強磁性の見方から,2層系スカーミオンを各層に現れるメロンの対励起と近似して,現象論的解析を行っている.研究成果は原著論文及び国際会議で発表した(項目11の研究発表に記載)
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Research Products
(5 results)