2009 Fiscal Year Annual Research Report
クォーク閉じ込めに支配的な役割を果たす位相的配位の研究
Project/Area Number |
21540256
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
近藤 慶一 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (60183042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 章博 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学研究センター, 講師 (30290852)
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Keywords | クォーク閉じ込め / カラー閉じ込め / グルーボール / 非線形変数変換 / 質量ギャップ / ヤン・ミルズ理論 |
Research Abstract |
量子色力学(QCD)において最も重要なクォーク閉じ込め/非閉じ込めとカイラル対称性の破れ/回復との2つの問題を,同時にかつ同等なレベルでQCDの第一原理から議論し得る枠組みを構築することは重要な課題である。従来のハドロンのモデルにおいては,カイラル対称性の破れか,閉じ込めのどちらか一方のみが正確に扱われ,両者を同時に有効に扱えるモデルは存在しない。 我々が従来から発展させてきた新しい場の変数を用いるQCDの再定式化が原理的にこれを可能にし,事実この目的を果たすひとつの低エネルギー有効理論を導出できることが判明した。ただし,実際に,これらの非摂動的問題を解く上で最も重要なインプットとなるのはゲージ結合定数のスケール依存性である。 この10年来,九後-小嶋のカラー閉じ込め判定基準と両立すると信じられてきたグルーオンとゴースト伝播関数に対するスケーリング解の他に,デカップリング解がごく最近発見され,それが格子ゲージ理論の大規模数値計算等で支持されるに至り,赤外領域でのゲージ結合定数の振る舞いを再検討する必要が生じた。 これに関して,赤外領域の違いはグリボフコピーを避けるために導入された非摂動的なゲージ固定処方箋に依存しており,グリボフホライズンを規定するホライズン関数の撰択の違いに起因して,2つの解が導けることを厳密に示した。グリボフホライズンをシュウィンガーダイソン方程式に取り入れる方法を提唱し,2つの解がグリボフホライズンを考慮したシュウィンガーダイソン方程式の厳密解であることを示した。今後,これらの方法論をQCD相図の解明などに適用できると期待される。
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Research Products
(16 results)