2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540259
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
寺澤 敏夫 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (30134662)
|
Keywords | 宇宙線 / 衝撃波 / 粒子加速 / 天体プラズマ |
Research Abstract |
宇宙線陽子・電子比解明のためには、まず、衝撃波加速過程に対する電子の注入問題、衝撃波下流での2次統計加速の寄与解明が不可欠である。この点について、(1)衝撃波により反射された準熱的電子のもつロスコーン分布はホイスラー波励起に対し不安定となる。こうして励起されたホイスラー波による電子の散乱を考慮することにより、無衝突衝撃波における電子加速の大問題として知られていた電子注入問題の新しい解決策を提唱した。(2)宇宙論的ガンマ線バーストにみられる特異なスペクトル形状を、衝撃波における電子一次加速過程と衝撃波下流における電子二次統計的加速過程の両者の寄与により説明する新しいモデルを提出した。 電子加速についての上記の理論的研究と平行して、衝撃波加速過程における粒子の加速効率の観測的決定を目指した:(3)超新星残骸RCW86のX線と可視光詳細観測を行い、衝撃波速度が6000km/s程度であるにもかかわらず、下流の温度が2keV程度と低いことがわかった。これにより、この超新星残骸で効率良い宇宙線加速が起こっていることをはじめてあきらかにした。(4)超新星残骸Cas Aのガンマ線観測を行い、先行のTeVガンマ線のデータとあわせて、ガンマ線スペクトルとのモデルフィットを行った。その結果、年齢300年程度の若い超新星残骸に対して従来期待されていた被加速粒子のスペクトル形状(べき指数2のまま10の15乗電子ボルトまでスペクトルが伸びている)をもたないことが明らかになり、新たな宇宙線加速の問題を提起した。
|
Research Products
(6 results)