2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540260
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
淺賀 岳彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70419993)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 盛光 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90108366)
中野 博章 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60262424)
|
Keywords | 素粒子理論 / 宇宙物質創成 / レプトンセクターのCP対称性の破れ / ニュートリノ質量 |
Research Abstract |
現代素粒子物理学に最大課題である「ニュートリノの質量の起源の解明」について研究を行った。特に質量が100GeVより軽い新しい素粒子、右巻きニュートリノによる解決方法について考察を行った。私とM.Shaposhnikov教授との先行研究により、3つの右巻きニュートリノを導入した「vMSM」模型では、ニュートリノ質量だけでなく、宇宙暗黒物質および物質反物質非対称性の問題が同時に解決されることが判明している。そこで本年度の研究では、右巻きニュートリノの実験・観測に関わる物理現象を調べた。 1つの重要な研究成果は、右巻きニュートリノのneutrinoless double beta (Ov2β)崩壊への寄与を定量的に評価した事である。その結果、右巻きニュートリノの質量が1GeV程度以下の場合には非常に重要な寄与、つまり標準模型に存在する3つの左巻きニュートリノの寄与を打ち消す効果を与えることを示した。この研究結果により,「vMSM」模型では近い将来におけるOv2β崩壊実験における検証が困難であることを指摘した。 もう一つの重要な研究成果は、π・K中間子崩壊から生成される右巻きニュートリノの実験検証についてである。軽い右巻きニュートリノは寿命が長くなるため、宇宙元素合成の観測からその存在が厳しく制限されている。これまでの先行研究では、質量がπ中間子より軽い右巻きニュートリノは否定されていた。我々は、現存する探索実験の制限を回避しつつ、寿命を短くする機構を発見した。その結果、質量が34MeV、からπ中間子質量までの軽い右巻きニュートリノの存在が許されることを発表した。この研究成果は、今後のπ中間子崩壊による右巻きニュートリノ探索実験に対して大きなインパクトを与えた。
|