2010 Fiscal Year Annual Research Report
初期宇宙との関連に基づく標準模型を越える理論の研究
Project/Area Number |
21540262
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
末松 大二郎 金沢大学, 数物科学系, 教授 (90206384)
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Keywords | ニュートリノ / 暗黒物質 / 初期宇宙 / 超対称性 / フレーバー構造 / バリオン数生成 |
Research Abstract |
ニュートリノ質量生成と暗黒物質の関連性に注目し、標準模型を超える理論的枠組みの可能性の検討を進めた。特に、輻射補正に基づくニュートリノ質量生成を可能とする超対称模型に注目し、模型の構成を行うとともに、模型から予想される様々な現象論的性質について検討を行い、以下の結果を得た。1.量子異常を持つ可換ゲージ対称性を持つ超対称模型において、この対称性が輻射補正による小さなニュートリノ質量生成を可能とすること、ニュートリノを含むクォーク・レプトンの質量階層構造とフレーバー混合をうまく説明することを示すとともに、この対称性の残存離散対称性のために超対称模型で通常想定されるニュートラリーノ暗黒物質とは異なる暗黒物質候補を含む可能性を持つことを指摘した。2.この新たな暗黒物質候補は、ニュートラリーノとともに必要とされる暗黒物質の残存量を説明することが可能であることを示し、この条件のもとでPAMELA/Femi-LAT実験で観測された宇宙線中の陽電子の異常をうまく説明することができることを指摘した。さらにこの新たな暗黒物質は、宇宙線中のガンマ線束にも新たな特徴的な異常をもたらすこと、及び、この新たな暗黒物質が存在する場合には、模型に含まれるもう一つの暗黒物質候補であるニュートラリーノが直接観測において、最小超対称標準模型のものとは異なる性質を示すことを指摘した。3.TeVスケールでのレプトジェネシスの可能性を超対称模型に特有の平坦な場の配位を利用するAffleck-Dine機構に基づき検討し、宇宙の再加熱温度がグラビティーノ問題を回避できるほどに低い場合においても十分なバリオン数の生成が可能であることを示した。
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Research Products
(8 results)