Research Abstract |
物質の究極構成要素であると考えられている「クォーク」と「レプトン」の統一的理解をめざして,ユカワオン模型の立場から,フレーバー物理の研究を行ってきた.本年度は,荷電レプトンの質量スペクトルについてのいわゆるKoide公式に関連して,前年度(2009年)提案された隅野模型に大いに刺激とヒントを受けた1年となった.隅野模型それ自身は荷電レプトンだけについてのモデルであり,クォークとレプトンの統一理論をめざしてはいない.しかし,ユカワオン模型にとって,参考とすべき多くのものを含んでいる.荷電レプトンの質量スペクトルについては,隅野はKoide公式とは独立な新しい式を導いている.私は,ユカワオン模型の立場から,この隅野公式の改良版ともいえる更に精度よく実験値と一致する公式を見いだした[YK, Phys. Rev. D ; Phys. Lerr. B, (2010)].最も大きな進展は,隅野モデルでの特異なフレーバー・ゲージ相互作用に注目し,このカレント(家族電流)の巨大加速器実験(LHCやILCなど)での実験的検証の提案を行ったことにある[YK, M. Yamanaka, Y. Sumino, Phys. Lett. B (2011)].家族数が2だけ変化する反応e^-+e^-→μ^-+μ^-が重要な決め手となる.また,LHCでのfamily gauge boson A_1^1の生成とその崩壊A_1^1→e^-+e^+(しかし,μ^-+μ^+には崩壊しない)もまた特徴的であることを指摘した.これによって,ユカワオン模型は,単にクォーク・レプトンの質量スペクトルと混合を巧みに説明するモデルとしてだけではなく,地上実験で検証可能な新しい物理をもたらすことの出来るモデルへと,研究の段階を上げることが出来た
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