2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁気優勢な領域における相対論的アウトフローの数値的解明
Project/Area Number |
21540271
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小嶌 康史 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (10192577)
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Keywords | 中性子星 / 相対論 / 天体プラズマ |
Research Abstract |
磁場が支配的な領域でのプラズマ状態とそこから放出される相対論的な速度の流れの理論的解明を目的としている。二成分プラズマ(二流体近似)の運動方程式とマクスウェル方程式を無矛盾に解くという計算手法で、天体スケールの大域的な電磁場構造とプラズマの運動を調べる。これまでの研究ではプラズマの運動、つまり電流や電荷分布を仮定する、あるいは逆にそれらを全く無視し電磁場のみを求めるという近似法が採用され、結果が出ている。しかし、それらの結果の妥当性がわからないので、本研究では両方が無矛盾な解を求めることを重要視したものである。軸対称性と定常状態を仮定し、無矛盾な解を求めるという、これまで進めてきた数値計算結果の一部を今年度に公表した。公表論文参照。方程式系は4つの楕円型偏微分方程式の非線形な連立式になり、それをどのように解けるかが物理現象解明の鍵となる。磁場がそれほど強くない場合には比較的簡単に解に収束することが分かった。パルサーやマグネターの磁気圏構造の解明に応用するためには、さらに高精度の計算と効率的な収束方法が必要であることが分かり現在、その困難の克服に努力している。 また、ブラックホールを含む磁気圏にも本研究の応用が可能で、一般相対論の効果を取り入れた定式化とその数値計算コードの開発も今年度に手がけた。一般相対論に由来する時空の曲がりは比較的容易に取り入れられことがわかり、今後この分野の研究にも役立てられる試算ができた。パルサー磁気圏やブラックホール磁気圏のモデル構築が可能になる。
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