2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540276
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中尾 憲一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90263061)
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Keywords | 宇宙論 / 相対論 / 非一様宇宙 |
Research Abstract |
(A)非一様宇宙の大域的な進化と非一様性の関係 ブラックホールは暗黒物質の候補のひとつと考えられているが、本当に候補になり得るかは、未だに明らかにされていない。それを明らかにするために、ブラックホールが等間隔に並ぶ宇宙に注目し、昨年度に構築したアインシュタイン方程式に含まれる拘束条件を数値的に求めるプログラムを改良しながら、数値解を構築し解析を行なった。そしてこの数値結果から、ブラックホール間の距離が短い場合は、ブラックホールの静止質量だけで評価した宇宙の膨張速度よりも大きな膨張速度となることが明らかにされた。ブラックホールだけが存在する膨張宇宙モデルの非線形な解析を精密に行なったのは、この研究が世界初である。 (B)宇宙の非一様性が、距離赤方偏移関係等の宇宙論的な観測結果に与える影響の解明. 宇宙の加速膨張問題を解決する為に提案された巨大ボイドモデルにおける構造形成の研究を行った。その目的は,銀河分布の観測によって巨大ボイドモデルと一様等方宇宙モデルを区別するためである。巨大ボイドモデルにおける構造形成は,これまで海外の2つの研究グループが行なっているが,具体的な解析を行なわず定式化に留まるものや,厳密性に欠けた解析だけであった。今年度行なった解析は、一様等方宇宙モデルの非線形摂動論を用いたものであり,この近似の適用限界について注意する限り,曖昧さのない結果が得られる.この非線形摂動論を用いて,巨大ボイドモデルにおける構造形成の解析手法の定式化を行なうとともに,具体的に解を構成し,ボイドの中心に位置する観測者の視線に垂直な方向の揺らぎの成長率と,中心観測者からの距離(あるいは宇宙論的な赤方偏移)との関係を定量的に明らかにした。
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Research Products
(10 results)