Research Abstract |
ソリトンの力学を調べるには,ソリトンがゆっくりと運動する近似で,モジュライに時間依存性を与え,その低エネルギー有効理論を求めることが重要である.ソリトンの中でも近年ボーテックス,特に非アーベルボーテックスの重要性が増している,この非アーベルボーテックスに対して,低エネルギー有効理論を求めた.具体的には,有効相互作用の漸近形を厳密に求めることに成功した.これによって,たとえば非アーベルボーテックスが互いに衝突した時に,どのような散乱をするかが決定できるようになる, ソリトンの熱力学的性質を理解するためには,モジュライ空間の体積が重要な役割を果たす,ソリトン解のモジュライ空間の計量を厳密に求めることは,一般には容易でない,しかし,計量の詳細ではなく,体積だけに着目すると,位相的場の理論の方法を応用することができる.特に超対称性を変形してその一部を用いることにより,経路積分が超対称変換の固定点に局在することがわかる.この事実を用いて,ボーテックスのモジュライ空間の体積を求めることに成功した.アーベルゲージ理論での局所ボーテックスについては,任意のリーマン面上のボーテックスに対して,今まで知られていた結果と完全な一致を得た.非アーベルボーテックスやセミローカルボーテックスについても結果が得られた.これらに対する結果は,今まで知られていない新しいものである. これらのソリトンは,すべて超対称ゲージ理論に埋め込むことができ,そうした場合には,超対称性の半分を保存するソリトンとなっている.こうしたソリトンを1/2BPSソリトンと呼び,これらに対して,位相的場の理論を用いた計算方法は有用性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ソリトン,特にボーテックスのモジュライ空間の理解は大きく進展した.非アーベルボーテックスの有効理論を具体的に得ることができたので,力学の考察に進むことができる。新たな手法として,位相的場の理論の方法を取り入れ,局所化の手続きでモジュライ空間の重要な側面であるモジュライ空間の体積をボーテックスに適用することに成功した.この方法を今後他のソリトンに応用することは次の課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
超対称理論でのソリトンの力学を理解することを推進したい.有効理論を用いて複数のソリトンの間の散乱を議論する予定である.位相的場の理論の応用については,まずドメーン・ウォールを取り上げて,そのモジュライ空間の体積を求めることを試みる.統一理論への応用については,余剰次元模型を考え,ドメーン・ウォールにゲージ場だけでなく,物質場も局在できる模型を構成することを目指す.
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