2010 Fiscal Year Annual Research Report
大質量星重力崩壊における長時間進化と物理過程の研究
Project/Area Number |
21540281
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山田 章一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80251403)
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Keywords | 重力崩壊 / 超新星 / ブラックホール / 流体力学不安定 / 重力波 / ニュートリノ / 状態方程式 |
Research Abstract |
今年度は、主として次の2点を重点的に研究した。(1)回転していない大質量星が重力崩壊し超新星にならずブラックホールになる際に放出されるニュートリノシグナルから抽出される情報、(2)ガンマ線バーストでジェットが生じるタイミング。以下、それぞれの成果をまとめる。 重力崩壊直前のコアの質量が極めて大きな場合、外層を吹き飛ばすことができず、超新星のような光学的に観測可能な現象を伴わずにブラックホールになると考えられている。そのような場合でも、ニュートリノが超新星の場合と同じかそれ以上に放出され、ブラックホール形成が観測される可能性を我々はこれまでに指摘してきた。今年度は、具体的に地上観測器としてスーパーカミオカンデを想定し、そこでの観測から高密度核物質にハイペロンが存在するかどうかを現在提案されている状態方程式をもとに区別可能か統計的に議論し、われわれの銀河系内のイベントであれば十分にそれが可能であることを示した。また、クォークやパイ凝縮などがあった場合のニュートリノシグナルへの影響も定量的に明らかにした。 ガンマ線バーストでは、大質量星の重力崩壊とブラックホール形成に伴い、超相対論的なジェットが生じると思われている。しかし、それがいつ起こるのかはよく分かっていない。我々はこれをパラメターとして、収縮する星外層の中をジェットが伝播する様子を軸対称2次元の数値シミュレーションで調べ、観測量特に光球輻射に現れる違いを定量的に調べた。その際、崩壊前の星を作るため、多層からなる回転平衡形状を求める新しい方法を開発した。計算の結果、ジェット生成が遅くなると、外層の密度分布が大きく変わるため、輻射にも定性的な違いが出ることが明らかになった.
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