2011 Fiscal Year Annual Research Report
大質量星重力崩壊における長時間進化と物理過程の研究
Project/Area Number |
21540281
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山田 章一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80251403)
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Keywords | 重力崩壊 / 超新星 / ブラックホール / 流体力学不安定 / 重力波 / ニュートリノ / 状態方程式 |
Research Abstract |
今年度は以下の3つの研究において大きな進展を見た。(1)重力崩壊型超新興の爆発後の長時間ダイナミクス。(2)重力崩壊計算用の核密度以下での状態方程式。(3)クォーク星形成のダイナミクス。 (1)ニュートリノ加熱機構に基づく最近の数値シミュレーションでは、衝撃波は復活するものの一般にきわめて小さな爆発エネルギーしか得られていない。これが計算時間の不十分さによるのか、本当に弱いのかが問題である。本研究では人為的に停滞衝撃波を復活させ、その後の長時間進化を核反応とそれと矛盾のない状態方程式を考慮して行った。その結果、衝撃波復活のタイミングが適切な時のみ、観測されているような爆発エネルギーとニッケルの合成量を得られることが分かった。また、爆発エネルギーには核子の再結合エネルギーが最も大きな寄与を与えることも分かった。さらに、球対称性を仮定しない場合の方が観測とよく合うことも明らかにした。これらは、現在論文にまとめているところである。 (2)これまで代表原子核1個のみしか考慮されていなかった状態方程式に、統計平衡にある多数の原子核の分布を考慮することに成功した。実験により得られているデータと質量公式を組み合わせたこと、パスタ相の存在を取り入れたことなどが新しい点である。現在これを実際のシミュレーションで利用できるようにテーブル化している。また、外国グループと比較検証をするプロジェクトが進行中である。 (3)バリオンからなっている物質がクォークの非閉じ込め状態に相転移するダイナミクスを流体力学的に記述し、燃焼過程との類推で理解する試みを行った。その結果、地上の燃焼と異なり、相転移は吸熱領域で起こりうることを示した。また、燃焼波面が安定化することも明らかにした。現在論文執筆中である。
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