Research Abstract |
従来よりp殻領域のΞハイパー核については,標的核^<12>Cの場合の殻模型波動関数を使って生成断面積を算定してきた。来るべきJ-PARCでの実験を想定して,Ξ粒子の結合エネルギーが小さい場合でもsd殻領域の標的を選ぶことにより,(K^-,K^+)反応の強度関数の計算を準備することを目的とした。この課題(パート1)として,奇数Zの典型標的核として^<19>Fをとりあげ,Ξハイパー核構造の特徴について殻模型による構造分析を試みた。しかし,これまでのところ採用すべきS=-2のNijmegen相互作用が落ち着くのを待つことと,また構造計算で芯励起の取扱いについてΛハイパー核の場合に習熟する必要があるため,Ξハイパー核の本格計算の前にΛ核に集中した。sd殻のΛとΞハイパー核ともにに適用できる殻模型計算コード,および多次元波動関数の場合の(K^-,K^+)反応の計算コードを完成させた。 これらの成果に基づき,そして実験的にも理論的にも重要な課題として浮上してきたsd殻領域のΛハイパー核の構造分析自身優先的に実行した。すなわち本年度の課題(パート2)として,まずsd殻領域の代表的Λハイパー核の殻模型計算を質量数18-20について芯励起モードを含めた構造計算を実行し,それらの微視的波動関数を用いて(K^-,π),(π^+,K^+)反応の強度関数を計算した。前者の反応では励起される状態の入射粒子運動量依存性が強いことを明らかにした。また,米国Jlab国立研の(e,e',K^+)実験に対応して,^<28>Al,^<40>Ca,^<52>Crを標的とした(γ,K^+)反応計算の理論結果をまとめて論文発表した。^<19>Fに対する試行計算とともに,これらは従来空白に近いsd殻領域のΛハイパー核に対する研究を進めるために貢献した。
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