2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540285
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
竹永 和典 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (50379294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗 博人 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20196992)
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Keywords | 素粒子論 / 対称性の破れ / ヒッグス / 余剰次元 / ゲージヒッグス統一機構 |
Research Abstract |
標準理論を超える物理として有望視されている高次元ゲージ理論に基づいた素粒子理論を構築することを目指して、ゲージヒッグス統一機構が持つとされる豊富なダイナミクスを明らかにする研究を行いました。この機構では、ウイルソンライン位相を通じて、輻射補正の効果により起こるゲージ対称性の破れが本質的に重要な役割を担っています。したがって、ゲージ対称性の破れ、特にその破れのパターンが何に依存して決まるのか、時空の構造がその破れのパターンにどのような影響を与えるのかを明らかにすることが重要です。さらに、現在進行中の大型加速器実験(LHC実験)で探索が行われているヒッグス粒子とも関連して、ゲージヒッグス統一機構が予言するヒッグス粒子の性質を明らかにすることも重要です。 我々は、余剰次元方向の物質場の運動項が高階微分を含む場合のゲージ理論(リフシッツ型ゲージ理論)において、ゲージヒッグス統一機構を研究しました。高階微分を含む場合の有効ポテンシャルを求めるための数学的手法の開発、整備を行い、その結果、高階微分はゲージ対称性の破れのパターンを劇的に変える効果があることを見いだしました。それと同時に、ヒッグス粒子を重くする効果もあることがわかり、一般的に軽いヒッグス予言するこの機構の弱点を克服できることもわかりました。また、相転移の次数が一次相転移であることもわかり、宇宙のバリオン数生成の可能性も指摘しました。 また、我々は、ゲージヒッグス統一機構のアイデアを大統一理論の枠内で、カイラルフェルミオンと矛盾なく、実現可能な模型の構築を研究しました。弦理論で用いられる「対角的埋め込み」と呼ばれる手法が、ゲージヒッグス統一機構にも適用可能であることがわかり、ミニマルな模型を構築することに成功しました。今後は、対角的埋め込みの手法を用いずに、ゲージ群の拡大、余剰次元の形状の変形などから、さらに模型構築の枠組みを広げ、新しい大統一理論の構築を目指したいと思います。
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Research Products
(4 results)