2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540287
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中道 晶香 京都産業大学, 神山天文台, 専門員 (30356125)
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Keywords | 磁場反転 / 太陽 / 地球惑星科学 / 理論天文学 / 宇宙物理 / インフレーション膨脹 / スケール因子 / ダーク・エネルギー |
Research Abstract |
まず、乱流状態を表現し、磁場反転の様子を探るため、地球の外核や太陽の対流ガメの反時計まわりのセルを1つのスピンとみなし、スピンがリング状に並ぶモデルを前年度に提唱し、継続して研究しました。当該年度は、どのパラメーターがどういう範囲の時に磁場反転が起きるのかをシミュレーションで調べ、磁場極性の反転には何が本質的に効いているのかを、地球と太陽の両方について示しました。さらに、不規則な磁場反転を起こす地球と、規則的な磁場反転を起こす太陽との違いが、スピンの数Nの違いであることを明らかにしました。地球と太陽の磁場反転を同じモデルで表現し、反転の(不)規則性の違いがスピン数N、つまり、物理的にはローカルなダイナモ要素の数の違いであることは、世界で初めて明らかにされたことであり、意義があります。 その他の太陽系天体に関しては、惑星探査から磁場を持つことが判明している水星、木星とイオ、オイロパ、ガニメデ、土星、天王星、海王星の磁場の強さと天体の質量が示すスケーリング則を説明し、上記の磁場反転の結果と合わせて2本の論文にまとめました。 年度後半には、より大きなスケールでの状況を研究するため、宇宙初期のインフレーション膨張に関する新しいモデルを数値計算によって調べました。stagflationと名付けられた理論モデルでは、インフラトンのポテンシャルに少しでも負の領域があれば、宇宙は自然にインフレーション膨張を起こし、インフレーション膨張が終わる時には宇宙定数が0になることがわかりました。 インフレーション膨張を記述する通常の宇宙モデルは、特に膨張の終わり方に無理がありますが、本モデルは自然に始まるだけでなく、自然に終わることが特徴であり、重要なモデルです。stagflation期における宇宙磁場の生成の研究には、取り掛かったところですが、モデルの特徴について国際会議で発表しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
太陽と地球の磁場反転について2本の論文をまとめる計画は、達成しました。さらに、太陽と地球の磁場反転メカニズムの共通点と、両者の違いを決めるパラメーターを明らかにできましたので、これらの研究に関しては当初の計画以上に進展しました。惑星・衛星の磁場の強さとスケーリング則も説明し、論文に記載しました。 一方、年度後半には、銀河・銀河団の磁場の研究の代わりに、より大きなスケールでの磁場生成のメカニズムを調べるため初期宇宙の研究に取り組み、プレリミナリーな結果を国際会議にて発表しました。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、最も大きなスケールでの磁場:宇宙磁場を、宇宙初期のstagflation期に乱流状態の場から生成する理論モデルを作り、宇宙磁場の見積りとスケーリングの研究を仕上げます。その暁には、小さな衛星から惑星、太陽、恒星、宇宙磁場までの様々なスケールにおける乱流と磁場の普遍性についての統一的な研究を完成させます。 研究遂行上の問題点としては、地球と太陽の磁場反転に関する2本目の論文を投稿しましたが、レフェリーとの議論について海外の共同研究者から反応が無く、レスポンスが遅れることが問題になっています。今年度中の掲載決定を目指し、国際電話等の対応策をとる予定です。
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Research Products
(5 results)