2009 Fiscal Year Annual Research Report
カイラルフェルミオンを用いた素粒子標準模型とそれを越える物理の解析
Project/Area Number |
21540289
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
青木 保道 The Institute of Physical and Chemical Research, 理研BNL研究センター, 理研BNLセンター研究員 (20292500)
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Keywords | 格子QCD / カイラルフェルミオン / 第一原理計算 / 数値計算 / 標準模型 / キャビボ-小林-益川(CKM)行列 / クォーク質量 |
Research Abstract |
本研究では、素粒子標準模型の基本パラメターであるキャビボ-小林-益川(CKM)行列とクォーク質量の精密決定を念頭に、現在広く用いられている格子QCD計算の解析手法の大幅な改良を目指す。そこから得られる計算結果と、実験からのデータを突き合わせることにより、標準模型の精密検証を行う。また、大統一理論における陽子寿命の予言、ダークマターの検出効率の見積りなどに応用し、標準模型を超えた物理法則を探索する。 今年度は、この改良に必要な新技術の試行と、既に確立している技術の大規模数値計算への応用を手がけた。新技術A)非例外条件(non-exceptional condition)を用いた非摂動くりこみでは、クォーク質量くりこみ定数の大幅な精度向上を実現した。この手法はCKM行列の精密決定に重要なK^0-K^0^^^-遷移行列要素のくりこみにも応用された。D)演算子の改良は、やはりCKM行列の精密決定に重要なB^0-B^0^^^-遷移行列要素の静的近似を用いた計算に適用され、フレーバーSU(3)対称性の破れ指数のカイラルフェルミオンによる第一原理計算の最初の結果をもたらした。今後の質量、各行列要素の複数格子間隔にわたる大規模計算との融合により、u、d、sクォークの質量と、CKM行列要素の精密決定に期待が持たれる。B)重率変換法(reweighting)は、sクォーク質量の微調整への応用に成功し、すべての物理量の系統誤差縮小に貢献している。この手法による、ダークマター検出効率に関わる、陽子中のストレンジ物質存在率の計算が進行中である。
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Research Products
(13 results)