2011 Fiscal Year Annual Research Report
カイラルフェルミオンを用いた素粒子標準模型とそれを越える物理の解析
Project/Area Number |
21540289
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青木 保道 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 准教授 (20292500)
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Keywords | 格子 QCD / カイラルフェルミオン / 第一原理計算 / 数値計算 / 標準模型 / キャビボ-小林-益川(CKM)行列 / クォーク質量 |
Research Abstract |
本研究では、素粒子標準模型の基本パラメターであるキャビボ-小林-益川(CKM)行列とクォーク質量の精密決定を念頭に、現在広く用いられている格子QCD計算の解析手法の大幅な改良を目指す。そこから得られる計算結果と、実験からのデータを突き合わせることにより、標準模型の精密検証を行う。また、大統一理論における陽子寿命の予言、ダークマターの検出効率の見積りなどに応用し、標準模型を超えた物理法則を探索する。 今年度は、昨年度までに確立した新技術、A)非例外条件を用いた非摂動くりこみと B)異質量重率変換法を用い、中性K中間子の混合行列要素の計算を2つの異なる格子間隔で行った上、連続極限の後に高精度な結果を得る事に成功した。これは、昨年度のクォーク質量、π、K中間子の崩壊定数と共に、ユニタリーな格子理論を用いた3フレーバーQCDにおける世界初の結果となる。 中性B中間子の混合行列計算においては、新技術 B)と D)演算子改良、とともに、より大きな体積、より現実のu, dクォーク質量に近い数値計算を、改良されたクォーク波動関数を用いて、2つの格子間隔で実行することにより連続極限の結果を導く事を目指して、現在計算が進行中である。震災の影響で遅れたが、24年度の前期にまとめられる予定である。この研究の過程で、新技術 C)フェルミオンモード分解と低モードの厳密な取扱いの新しい構成法が確立されつつあり、今後の更なる高精度化に期待が持てる。 陽子寿命の予言に必要な陽子崩壊行列要素は、新技術 A)を用いた計算が完了し、論文投稿準備中である。
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