2009 Fiscal Year Annual Research Report
超対称性ゲージ理論の格子定式化とその非摂動的側面の研究
Project/Area Number |
21540290
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Research Institution | Okayama Institute for Quantum Physics |
Principal Investigator |
杉野 文彦 Okayama Institute for Quantum Physics, 専門研究員 (60393419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 正夫 岡山光量子科学研究所, 所長 (40198536)
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Keywords | 素粒子論 / 計算物理 |
Research Abstract |
まず、2次元N=(2,2)超対称QCDの非摂動的側面に関して、連携研究者である菊川芳夫氏と共同でギンスパーグ・ウィルソン定式化を用いた2次元N=(2,2)超対称QCDの格子定式化の模型構築を行った。この模型は格子上で超対称電荷をひとつ保ち、様々な物質場の超対称多重項について一般的なスーパーポテンシャルの場合を取り扱うことができる。適用範囲は極めて広く、超弦理論のミラー対称性の検証にも適用できると考えられる。 また、連携研究者の鈴木博氏と加堂大輔氏との共同研究では、同じ理論の別の格子定式化を行った。上の格子定式化は広い適用範囲を持つがギンスパーグ・ウィルソン定式化を用いたため、作用関数は複雑な形をしており、実際の数値シュミレーションへの応用においては完全に望ましいとは言えない。ここでは、超対称電荷をひとつ保つが、ギンスパーグ・ウィルソン定式化を用いないなるべく簡単な格子定式化を目指した。構成できたのは、物質多重項はすべてゲージ群の基本表現あるいはすべて反基本表現の場合、かつスーパーポテンシャルがない場合であった。このため適用範囲は限られるが、ゲージ化された線形シグマ模型などいくつかの興味ある場合の非摂動的側面の解析手段を与えるものとなっている。 超対称性の破れた系の非摂動的取り扱いに関して、通常の自発的対称性の破れの場合と同様に対称性をあらわに破る外場を導入して議論を行った。特に行列模型の場合に、行列のサイズNが無限大でのみ超対称性が破れる模型をはじめて構成することができた。行列模型による超弦理論の非摂動的定式化の観点からこの模型の破れの機構は興味深く、更なる解析を進める計画である。 2次元N=(4,4)やN=(8,8)超対称ゲージ理論の新たな格子定式化に関して花田政範氏、松浦壮氏と共同研究を進めている。この模型から4次元N=4理論がパラメータの微調整なしに得られる可能性があるため、極めて興味深いと思われる。
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