2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540292
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
成田 晋也 岩手大学, 岩手大学・工学部, 准教授 (80322965)
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Keywords | 化合物半導体 / 窒化ガリウム / 酸化亜鉛 / ショットキーダイオード / 放射線検出器 / 放射線耐性 |
Research Abstract |
本研究では、新世代化合物半導体として各種デバイス応用が期待されているGaNおよびZnOを材料として、素粒子実験分野での実用を見据えた次世代放射線検出器の開発を行った。まず、前年度から引き続き、ZnO基板によるショットキーダイオードの各種電気特性を検証し、その上で、X線およびα線照射に対する出力信号の評価を行った。X線照射試験では、X線発生管の出力に対応した信号電荷分布の変化が観測され、作製した素子がスペクトロメータとしての性能を持つことが示された。α線照射試験では、素子への適正な逆バイアス印加により高感度での粒子検出に成功した。今後は、耐圧性能の改良により、さらなる信号雑音比の向上が見込まれる。また、放射線の積算照射による素子性能劣化を評価するため、ダイオード素子に20MeV陽子線照射を行い、性能の変化(放射線耐性)を評価した。その結果、積算照射量~10^<14>p/cm^2程度までは、電気特性に有意な変化は観測されなかった。また、~10^<15>p/cm^2の照射で暗電流が約10倍増加したが、その後、2ヶ月程度の室温保管で、特性が照射前と同程度に回復することが確認された。これは陽子線照射によって生成された欠陥が消失したためと考えられる(低温アニーリング効果)。以上の結果は、ZnOの放射線損傷に対する耐性の高さを示すものである。 GaNによる素子開発では、放射線検出器としての実用性を考慮した厚さ5umの基板によるダイオードの作製を試みた。そこでは、反応性イオンエッチングなど特殊工程における条件の最適化を行い、実用素子作製のための技術を確立した。 今年度の結果を含め、平成21年度からの3年間の研究成果により、GaNおよびZnOによる放射線検出器開発の基盤を確立した。今後、実用検出器の実現には、高抵抗化や厚膜化、欠陥・転位密度の低減といった基板品質の向上が最重要課題である。
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Research Products
(3 results)