2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540304
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
河内 明子 東海大学, 理学部, 准教授 (70332591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 統也 山梨学院大学, 経営情報学部, 教授 (50319084)
岡崎 敦男 北海学園大学, 工学部, 教授 (00185414)
早崎 公威 京都大学, 大学院・理学研究科, 研究員 (30374218)
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Keywords | 高エネルギー宇宙物理 / 連星系 / シミュレーション / 赤外観測 |
Research Abstract |
大質量連星系(Be星SS2883と電波パルサーPSRB1259-63)を主な対象とした研究を進めている。この連星系では近星点の近傍で電波から高エネルギーガンマ線までの非熱的な変動放射が観測されており、この変動を大質量星からの恒星風・円盤とパルサーの相互作用を基礎に理解・検討するため、連星系をモデル化した3D流体シミュレーション、および近赤外線バンドによる円盤の観測を行った。 昨年度はまず、シミュレーションの枠組みとこれまでの計算をまとめた論文が出版された。この論文では、SS2883がより高温であると示唆する観測結果が出たことを受け、outflowの量を変え衝撃波面の構造に対する影響を見る等の基礎的な研究をまとめている。また、シミュレーションの結果と高エネルギー放射計算のプログラムを組み合わせることで、近星点近傍での光度曲線を作成する枠組みを完成させ、論文にまとめた。フェルミ観測衛星による、ガンマ線観測の詳細な解析と併せてスペクトル型変動の検討も行った。これらの枠組みを用いればシミュレーションから放射の光度曲線を直接に計算できるため、実際の観測との差異と連星系パラメーターの定性的な影響等、今後のさらなる研究に繋がる結果となっている。 エネルギー放射の鍵となるBe星の円盤の形状・性質が連星系の近星点前後で大きく変化することが予測されており、昨年度の近星点近傍に名古屋Z研の南アフリカ赤外線天体観測所での観測が行われた。解析は結果の値の詰めを残す段階となっており、研究会での発表も行った。近星点が近付くにつれ徐々にコンマ数等明るくなる様子、長波長側でより明るくなる赤化が見えている等、全く新しい知見が得られている。同時期に高エネルギー連星系をいくつか観測しており、それらの研究も持続する予定である。
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