2010 Fiscal Year Annual Research Report
光磁気カー効果による分数量子ホール電子系のスピン偏極イメージング
Project/Area Number |
21540315
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
音 賢一 千葉大学, 大学院・理学院研究科, 准教授 (30263198)
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Keywords | スピン偏極 / イメージング / 量子ホール効果 / 強磁場 / ポテンシャルゆらぎ / カー効果 / サニャック干渉計 / メゾスコピック系 |
Research Abstract |
分数量子ホール状態の電子スピンが関与する核スピン偏極や大きな抵抗増大、多数電子スピンが関わるスカーミオン励起などを詳細に調べるため、本研究ではKerr効果を用いた2次元電子系の電子スピン偏極を高感度に計測する手法を用いてイメージングを行い、量子ホール電子系のスピン偏極状態の空間分布を捉えることを目指している。平成22年度は、量子ホール電子系によるKerr効果をさらに弱励起光下で高感度に計測するため、光ファイバーや様々な光学系からの擾乱を排除できるサニャック干渉計とMHzオーダーの変調周波数によるロックイン検出を採用した1/fゆらぎノイズを大幅に抑制した高感度・高安定Kerrイメージング計測装置を構築した。まず、整数量子ホール効果の占有数1近傍のスピン偏極度の計測に適用し、十分な感度があることを確認した。また、励起光源に外部共振器型半導体レーザや超高輝度発光ダイオードを用いることで、スピンイメージングの時間的安定性や不要な光干渉によるノイズを低減できることを実験的に確認した。平成23年度はこれらの知見を生かして、極低温・強磁場における弱励起光による分数量子ホール状態の電子スピンイメージングを行い、スピン偏極度の示すパターンの観測から電子スピン偏極・非偏極のドメイン構造のサイズや分布、ドメイン間の相互作用の強さと相関距離の依存性を調べて分数量子ホール状態での長時間巨大磁気抵抗の機構の解明やスピンの制御に関わる知見を得る。
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