2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540323
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野上 由夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10202251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 直 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00222894)
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Keywords | 時分割計測 / X線・粒子線 / 電荷秩序 / 強相関 / 有機導体 / 低次元導体 / 電荷密度波 / 交差物性 |
Research Abstract |
直流を交流に変換する有機サイリスタの原因となる非線形伝導効果と電荷秩序との関連について知ることは,有機誘電体の形成および消失メカニズムを研究する上で極めて重要である。電流に依る電荷秩序融解過程の時定数と再凍結過程の時定数はかなり長く数十msec以上である。この異常に長い時定数は,この電荷に関する誘電性が,実際には格子とも大きくカップルしている可能性を示唆している。これを裏付けるように,電流を流し2倍周期の変調構造が変化することに同期して,格子長が大きく変化している兆候を見いだしている。しかも,電場にたいしての係数は,通常のピエゾ素子の数千倍にも達している。この格子長変化は電流に比例し電流による格子変形効果が観測されている可能性がある。この非線形効果のメカニズムを詳しく調べるために,当初、予定していた物質の研究を進めながら、更にもう一種類の有機物質を発見した。この物質は低温電荷秩序が不安定になる。電流印加時にX線超格子実験をおこない電荷秩序に関わる超格子からの反射が消失した。電流に依る非線形効果は,電流を流すことによる非平衡効果であり,もし電流によるジュール発熱効果では絶対にない。もしそうであれば,電荷秩序は観測された様な消失ではなくむしろ安定化する筈である。更にこの物質でも2相の競合が起こっている事を新たに明らかになった。つまり電流による非線形応答は二相競合が本質的である事を明らかにしたと考えている。また新たに、電場に加え重要なパラメータである磁場下において、抵抗変化と電荷秩序、電荷密度波の変化が起こる物質を複数発見し、詳細な磁場温度相図を、構造、磁化、抵抗について作成し、そのメカニズム解明に対しての重要な知見を得た。
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Research Products
(8 results)