2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540326
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
徳永 英司 東京理科大学, 理学部, 准教授 (70242170)
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Keywords | 水 / ポッケルス効果 / 電気光学効果 / 電気二重層 / 偏向スイッチング / Sagnac干渉計 / ITO / Pt |
Research Abstract |
電解質水溶液中の電極に電圧を印加すると、電極表面に高電揚が集中した厚さ数nmの水の電気二重層、電極内部に空間電荷層が形成される。ITO、GaN、TiO2電極界面の水の電気二重層内のポッケルス係数、水以外の極性溶媒、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)のITO電極界面でのポッケルス係数をこれまで実験的に求めてきた。しかし、これまでの実験は電極界面に垂直入射またはそれに近い光での測定のため、電極の空間電荷層のポッケルス効果の寄与も生の信号に含まれ、多層膜の解析でその効果を除外して、電気二重層内の水だけのポッケルス効果の寄与を導出してきた。このため、これまでの実験では透過光を測定できる透明電極が必須で使用できる電極が限られ、白金(Pt)界面などの金属界面の水について調べることができていなかった。また、ポッケルス効果は分光スペクトルに現れる干渉縞の波長シフトの信号として検出していて、電気光学スイッチング素子としての利用可能性に限界があった。そこで、電極界面に平行にプローブ光を入射して、電場印加によるポッケルス効果で発生する空間的な屈折率勾配でプローブビームが偏向するのを検出する実験を新たに行った。ここで、測定感度を増すためにSagnac干渉計を利用した検出法を考案している。結果は驚くべきことに、ビームが電極界面近傍を通らないで、電極からビーム径以上、2-3mmのオーダーで離れてもビームの偏向が発生することを発見した。これは、バルク水の領域でポッケルス効果が発生していることを示し、2次の非線形光学効果の発生には電場の印加前に反転対称性が破れていなければならないという非線形光学の常識を破っている。(電気二重層内の水のポッケルス効果の場合は、界面の存在が反転対称性を破っていることからその発生は説明できた。)バルク水のポッケルス係数の大きさは、電気二重層内の水のポッケルス係数より一桁小さいが、それでも代表的な電気光学結晶のLiNbO3と同じオーダーの大きさを持っていることがわかった。また、電極の組み合わせがITO-ITO,ITO-Ptの場合と比べ、Pt-Ptの組み合わせでは信号が非常に小さいこともわかった。
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Research Products
(6 results)