2010 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属系パイロクロア型物質における構造相転移機構と物性の相関の解明
Project/Area Number |
21540330
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
松下 能孝 独立行政法人物質・材料研究機構, 共用ビームステーション, 主幹エンジニア (70422441)
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Keywords | 強相関電子系 / 固体化学 / 放射線・X線・粒子線 / 物性実験 / 結晶学 |
Research Abstract |
近年、組成式A_2B_2O_7またはA_2B_2O_6として表わされる遷移金属系パイロクロア型結晶構造物質が示す超電導・金属-絶縁体転移・強誘電特性など数々の興味深い物性が非常に注目されている。これら物性の起源として、超電導や金属-絶縁体転移に関しては"結晶格子-電子軌道-電荷"が互いに強く相互し合う、いわゆる"強相関"がその起源として起きており、誘電特性に関しては、主として遷移金属元素サイトの配位子場において分極化が生じ、その誘電性が発現しているものと考えられている。しかしながら、それら物性の発現起源の解明には十分に至っていないのが現状である。そこで本研究では、放射光X線回折実験を利用して、パイロクロア型物質の結晶構造・電子密度の詳細を比較検討する事により、本物質系が示す構造相転移機構のメカニズムや超電導や強誘電性などの物性起源に迫ろうとするものである。今年度においては昨年度合成法を確立した当該物質の合成を継続的行うと共に、物性測定を行い、試料評価を行った。加えて、SPring-8NIMSビームラインに設置されている回折計を用いて構造相転移機構の解明に向けて当該物質ならびに関連物質の室温回折実験を行った。
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