2009 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴非弾性X線散乱による遷移金属酸化物の電子励起の理論的研究
Project/Area Number |
21540331
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
筒井 健二 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (80291011)
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Keywords | 強相関電子系 / 放射線,X線,粒子線 / 物性理論 / 光物性 |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導体の電子状態を調べる手段の一つに不純物置換効果がある.超伝導を担うCuO_2面のCuをZn等の非磁性元素やNi等の磁性元素で置換することにより電子状態の変化を調べるものである.この置換効果においても銅酸化物高温超伝導体は特異な振る舞いを示すことが知られている.本研究ではNi不純物近傍の電子状態をd-p模型に対するクラスター計算を行うことによって調べた.その結果,Ni不純物サイトの最隣接酸素サイトの軌道にキャリアが束縛され,そして周りのCuサイトの反強磁性相関が強くなることが,理論計算として初めて明らかになった.そして,この束縛状態を直接観測する実験手段として共鳴非弾性X線散乱が有効であることを,具体的なスペクトルの計算を行うことによって示した.Ni K吸収端共鳴非弾性x線散乱は,入射X線の吸収によりNiイオンの1s軌道の内殻電子が4p軌道に励起され,再び1s軌道に戻ることにより散乱X線が放出される.この過程の中間状態で主に1s内殻ホールと3d電子とのクーロン相互作用によりフェルミ準位付近の電子である3d電子が励起される.この中間状態で生成される1s内殻ホールは不純物サイトであるNiサイトだけであるため,励起される3d電子はNiサイトでのみ生じることになる.その結果Niサイト近傍の電子励起を直接観測できることになる.スペクトルを計算した結果として,ホールがNiサイト近傍で束縛されていることに起因した励起スペクトルが電荷移動ギャップ内に現れることを予見した.
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Research Products
(7 results)