2011 Fiscal Year Annual Research Report
単分子膜形成技術の応用によるペロブスカイト蛍光体発光機構の解明
Project/Area Number |
21540333
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
池上 敬一 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 副研究部門長 (50356416)
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Keywords | 酸化物蛍光体 / ペロブスカイト蛍光体 / エネルギー移動 / 電界発光 / 蛍光寿命 |
Research Abstract |
本研究課題では、耐環境性に優れ長寿命で且つ省資源型の新規発光材料として注目を集めている、ペロブスカイト型酸化物蛍光体における発光機構を解明することを目的としている。この目的に向けて、(1)ペロブスカイト蛍光体とその近傍に配置した色素との間のエネルギー移動による増感効果もしくは消光効果の有無を明らかにする、(2)ペロブスカイト蛍光体薄膜を電極で挟んだサンドイッチ構造の試料において非線形伝導現象と電界発光現象との相関を検討する、という二通りのアプローチで検討を行うこととしていた。しかしながら、東日本大震災による影響(揺れに起因する単分子膜製造装置の不具合、電力不足による空調の不全、研究排水設備復旧の遅れ)が想定外に大きく、(1)のアプローチを継続するは極めて非効率となったので、(2)のアプローチに研究資源を集中した。 まず、前年度までに導入した楕円鏡付300Wキセノンランプと電子冷却式CCDとを組み合わせたポリクロメータ式蛍光測定装置を用い、Ca_2Nb_3O_<10>ナノシートの単分子膜をシード層として利用することで石英基板上に作製したペロブスカイト蛍光体(Pr_<0.002>(Ca_<0.6>Sr_<0.4>)_<0.997>TiO_3)薄膜の蛍光スペクトルを測定した。ついで、Pr_<0.002>(Ca_<0.6>Sr_<0.4>)_<0.997>TiO_3)薄膜を電極で挟んだ試料を用意し、これに交流電圧を印加してその発光スペクトルを上記電子冷却式CCDによるポリクロメータで測定した。その結果、印加する交流電圧の大きさや周波数に依存することなく、電界発光スペクトルが蛍光スペクトルと一致する(610nm付近の主ピークの形状だけではなく、500,700,820,880nm付近の小さい発光帯の形状や強度比まで)ことが確かめられた。 また、交流電圧印可時の電流波形と発光強度波形を比較したところ、高周波域においては発光に約40・s程度の遅れのあることが分かった。そこで上記石英基板上の試料にて時間分解蛍光測定を行ったところ、寿命として43・sが得られた。 さらに、フィッティングによるデータ解析を進めたところ、発光現象を生じせしめるのに必要な最低限の電圧が約4Vであり、母結晶のバンド間励起に必要なエネルギー(3.9eV)と極めて良く対応していることが分かった。 これらの結果から、ペロブスカイト蛍光体(Ca_<0.6>Sr_<0.4>)_<0.997>TiO_3)においては、紫外線励起の場合でも電界励起の場合でも、母結晶の電子正孔対から発光中心へのエネルギー移動によって発光現象が生じていると結論できた。なお
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Research Products
(9 results)