2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁性体における電流-磁化相互作用の微視的理論の構築とその熱現象への展開
Project/Area Number |
21540336
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河野 浩 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (10234709)
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Keywords | 磁壁移動 / スピントルク / スピン緩和 / スピン起電力 / 熱輸送 |
Research Abstract |
(1)スピン起電力の微視的理論 前年度、磁化ダイナミクスにより発生する「スピン起電力」の計算において、ゲージ場を用いた計算法に存在していた困難を解決し、空間的に局所的な表式を微視的に導くことができた。今年度(含、繰り越し期間)は、その詳細を詰めて論文としてまとめた。(J. Shibata and H.Kohno, Phys. Rev. B84( 2011) 1844081-12.) (2)スピントルクに対するスピン軌道相互作用の効果 スピン軌道相互作用の強い系では,これまで知られているトルクとは質的に異なるトルクが存在し,磁化操作の効率化に寄与する可能性が期待され、最近盛んに研究されている。本研究課題である微視的計算の観点からも重要な研究対象であるが、その計算は一般に複雑である。そこで今年度は、解析的に取り扱いやすいことに着目して、トポロジカル絶縁体表面に実現する2次元ディラック電子系が、それと近接する磁性体の磁化に及ぼすトルクを調べた。この系の特殊性である電子の速度とスピンの等価性を用いることにより、得られたトルクは全て輸送係数の観点から理解できることを示した。副産物として、ディラック電子系における紫外発散の取り扱いに関して、新しい方法を提案した。(論文準備中)
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