2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540338
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
藤原 賢二 島根大学, 総合理工学部, 教授 (50238630)
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Keywords | 重い電子系 / 超伝導 / 価数揺らぎ / 引力機構 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
本研究では、微視的観点から電荷揺らぎや静的な電荷状態を敏感に測定可能な核四重極共鳴法を駆使することにより、高圧力下で電荷状態や結晶構造の変化と相関のある超伝導状態を研究している。特に,平成23年度においては,新型圧力セルの開発によりCeCu_2Si_2の高圧下におけるNMR/NQR実験を大いに進展した。 CeCu_2Si_2では、電気抵抗実験により得られた臨界圧力P_C=45GPa近傍でのCu-NQR周波数の詳細な圧力依存性の情報に注目が集まっている。今回,汎用の極低温あるいは高磁場環境で容易に使用可能な小型(34mmφ×45mm)の圧力セルの開発に成功した。比較的大きな試料空間(2.2mmφ×)を備えながら、極低温域でも7万気圧弱の圧力発生が可能である。試料空間が大きいので、様々な実験手法への応用が容易に図られると期待できる。新開発の圧力セルを用いて5.4GPaという高圧力下においてCeCu_2Si_2のCu-NQRの信号観測に成功し,NQR周波数VQが臨界圧力(P_C=45GPa)近傍で急に減少することを見出した。バンド計算と比較すると,この減少はCe価数がP_C近傍で突然増大することを意味している。5GPa近傍でVQの直線的な圧力依存性が回復しており,Ce価数が臨界圧力P_C=45GPaを境に高価数状態ヘクロスオーバーするように見えるのは注目に値する結果である。これらの実験結果は、英国ケンブリッジで開催された強相関電子系の国際会議および富山大学あるいは関西学院大学で開催された日本物理学会で発表された。 ドイツ・マックスプランク研究所よりCeCu_2Si_2の良質の単結晶試料の提供を受けたのでCu-NMR実験を開始した。NMRスペクトル測定により、良質の単結晶であることが確認されたので、高圧・高磁場下でNQR周波数の測定を遂行している。現在までのところ,低圧力・低磁場下では顕著なNQR周波数の変化は見られていない。
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Research Products
(7 results)