2009 Fiscal Year Annual Research Report
臨界点近傍の遍歴電子磁性体の磁化曲線に及ぼすゆらぎの効果
Project/Area Number |
21540341
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
高橋 慶紀 University of Hyogo, 大学院・物質理学研究科, 教授 (90143544)
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Keywords | 遍歴電子磁性 / スピンゆらぎ |
Research Abstract |
相転移温度が低い臨界点近傍の偏歴磁性体の磁気的性質への量子力学的なゆらぎの効果に大きな関心が集まっている。従来は、磁化率の温度依存性など自由エネルギーの2次の展開項の係数である磁化率や比熱の温度依存性に主な関心があったが、高次の非線形項を含む磁化曲線の挙動をスピンゆらぎ理論に基づき明らかにすることがこの研究課題の大きな特徴であり、また目的である。 最近では低い対称性をもつ結晶の化合物が実験的な研究対象となることが多く、その場合には磁気異方性の影響が一般に無視できない。このような事情から今年度は、磁気異方性に及ぼすスピンゆらぎの影響を理論的に考慮に入れる方法について検討した。Ising的な1軸異方性をもつ場合を取り上げ、基底状態における磁化曲線と自発磁化の温度依存性に及ぼす磁気ゆらぎの影響を明らかにした。これらの成果については、平成22年の3月に開催された日本物理学会で発表し、一部は現在JPSJのLetterとして投稿中である。この年度の前半では、これまでの研究内容についての普及、啓発として慶応大学と京都大学の大学院の非常勤講師としてスピンゆらぎ理論の解説を行った。その除の内容をまとめて物性研究刊行会に「講義ノート」として投稿準備中である。これらの講義の準備の際にSelf-consistent Renormalization (SCR)理論が、相転移のスケーリング則に矛盾していることが判明し、この内容についても現在学術雑誌に投稿中である。
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Research Products
(4 results)