2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540348
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
横尾 哲也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究機関講師 (10391707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 晋一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (00221771)
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Keywords | 低次元磁性 / 量子スピン / スピンギャップ / 量子ビーム / スピンパイエルス / 中性子散乱 / 物性実験 |
Research Abstract |
本課題は量子効果を示す低次元スピン系の中で、特にスピンパイエルス転移を示す系における磁気励起を明らかにすることを目的としている。対象とする系はTiOBrである。本系はTiのt2g軌道の整列を通して磁気的な一次元性が生じ、その結果スピンパイエルス転移を示すと期待されている。しかしこれまでにスピンギャップの直接観測は未だなされていない。本研究で高エネルギーパルス中性子を用いた動的相関の測定を行うことにより、スピンギャップならびにブリルアンゾーン全域に亘る広い運動量エネルギー空間でスピン揺動を捉える。 候補物質のひとつであるTiOBrは大型単結晶を得ることが困難であり、多結晶試料における非弾性散乱測定を行った。以前ロスアラモス研究所で行った測定では、磁気ピークと考えられるシグナルは反強磁性のゾーン中心、エネルギーが10meV程度の領域で観測された。しかしその後、その領域が含まれる運動量空間での測定を再度行ったところ、明確なシグナルが観測されない。我々は最終年度にJ-PARCに完成した高分解能チョッパー分光器(HRC)を用いて更なる測定を行ったところ、E=6meV程度の低エネルギー領域に明瞭な新しいシグナルを観測した。この領域はこれまで測定分解能が十分でないため観測できなかった領域である。現在解析を進めているところではあるが、当初20meV(ロスアラモスの測定では10meV)に期待されたギャップエネルギーや交換相互作用は大きく見積もりすぎており、磁気分散のバンド幅が6meV程度を有する励起であることが明らかになった。さらに分解能を高めた実験を予定しており、そのギャップ構造の詳細を探る。
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[Journal Article] The Fermi Chopper Spectrometer 4SEASONS at J-PARC2011
Author(s)
R.Kajimoto, M.Nakamura, Y.Inamura, F.Mizuno, K.Nakajima, S.Ohira-Kawamura, T.Yokoo, T.Nakatani, R.Maruyama, K.Soyama, K.Shibata, K.Suzuya, S.Sato, K.Aizawa, M.Arai, S.Wakimoto, M.Ishikado, S.Shamoto, M Fujita, H.Hiraka, K.Ohoyama, K.Yamada, C.Lee
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Journal Title
J.Phys.Soc.Jpn.
Volume: 80
Pages: SB025(1)-(6)
DOI
Peer Reviewed
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