2010 Fiscal Year Annual Research Report
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21540352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雄介 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20261547)
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Keywords | 超固体 / 固体超流動 / ジョゼフソン効果 / 臨界速度 / ソリトン / サドルノード分岐 / スケーリング則 / 相転移 |
Research Abstract |
一次元超固体相におけるジョセフソン効果を有限の相互作用レンジを持つグロスピタエフスキー方程式を用いて調べ、特にサイズ依存性を数値的に調べた。その結果十分大きな系においても前年度に得られた結論はほとんど変わらないことを確認した。さらに時間発展型に拡張した模型で、超固体相や超流動相の崩壊のダイナミックスを研究した。 その結果として、相互作用の強さによらず、臨界速度より大きな速度状態は、ポテンシャル障壁近傍で、ソリトンを放出して、超流動状態、超固体状態が崩壊することがわかった。またソリトンの放出率は臨界速度と超流動速度の差にスケールし、臨界速度直上では発散に向かう傾向が見て取ることができた。一方で相関長など空間変化を特徴づけるスケールの発散は伴わないことも確認できた。このことは臨界速度近傍は動的には相転移に類似した時間スケールの発散が生じるものの、通常の静的相転移と異なり、相関長の発散を伴わない、新たな「相転移」として捉えうる可能性を示唆している。またソリトンの放出率についてのスケール則は確認できたものの、スケール則を特徴づける臨界指数はサドル・ノード分岐のそれと計算精度の範囲では現時点では大きな矛盾はないことも碓認した。当該年度の研究成果によって障害物下での無散逸流が超固体相でも可能であるという我々の前年度の成果がより確固たるものになったことと、固体超流動相の崩壊について初めての理論的成果が得られた点に、成果の意義がある。
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