2009 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導転移温度の擬クーロンポテンシャルの決定を含む第一原理計算
Project/Area Number |
21540353
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 康民 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (00126103)
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Keywords | 物性理論 / 超伝導 / 計算物理 / 第一原理計算 / 強相関電子系 / グラファイト層間化合物 / 擬クーロンポテンシャル / 転移温度 |
Research Abstract |
フォノン機構の超伝導体を主対象に、擬クーロンポテンシャルμ*の決定を始めとしたクーロン斥力効果も含めて超伝導転移温度T_cを第一原理的に微視的に計算する手法とその計算コードを開発し、それを用いて超伝導機構へのより深い理解と高温超伝導体合成に向けて理論的観点から有用な示唆を与えることを目的とした研究である。具体的には次のサブテーマを順次遂行する。(1)G_0W_0近似を均一密度電子系での超伝導に適用してT_cを定量的に計算し、その最大化条件を探る。(2)G_0W_0近似の計算コードを不均一密度電子系も取り扱えるようにアップグレードし、それによってT_cの均一系からの変化を調べ、それが増大する条件を探る。(3)電子フォノン系に対するエリアシュバーグ理論はGW近似に他ならないが、この理論で現象論パラメータとされるμ*を第一原理から決めるようにGW近似のコードを書き上げ、T_cの定量計算を行う。(4)GW近似を越えてGWΓ法にまで計算手法をより一層高度化し、ポーラロンやバイポーラロン効果も適切に取り扱う。そして、これによって強相関強結合系でのT_c最大化の条件を探る。(5)このGWΓ法と密度汎関数超伝導理論(DFTSC)との対応を考えながら、DFTSCでのエネルギー汎関数形の有るべき姿の構成に資する。 平成21年度は主に(1)の段階の研究を行い、例えば、グラファイト層間化合物ではCaC_6の約11KのT_cを再現しつつ、Caの代わりにTiやVを挿入すればT_cが約2倍になることを予言すると同時に、T_cが50Kを越えるための条件を提示した。また、(2)に関連して、バンド計算パッケージで得られるブロッホ基底を用いて具体的にG_0W_0近似を実行するために必要な計算コードの開発を推進している。さらに、(4)に関連して、バーテックス関数ΓがT_cを如何に制御するかの物理の解明を目指して、Γを取り込んだ超伝導理論の定式化に取りかかった。
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Research Products
(6 results)