2009 Fiscal Year Annual Research Report
整数量子数を持つ立方晶希土類化合物の単結晶試料作製と多極子相互作用による異常物性
Project/Area Number |
21540356
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石川 義和 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(理学), 教授 (20143836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑井 智彦 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 教授 (10251878)
水島 俊雄 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 准教授 (50135000)
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Keywords | 四極子 / 重い電子 / プラセオジム化合物 / 多極子 / 立方晶 / 単結晶 / 整数量子 / 希土類 |
Research Abstract |
立方晶の結晶対称性を持つプラセオジム化合物で見られる重い電子的異常は、実は、四重極相互作用等の多極子相互作用を起源とした異常ではないか、との推論を基に、プラセオジム化合物で発現する異常の起源を極低温での比熱と熱電能を中心とした実験により明らかにすることを本研究の目的としている。 成果として、低温で巨大電子比熱係数C/Tをもつ立方晶PrMg_3の低温における熱電能係数S/Tを測定し、PrMg_3はS/Tがきわめて小さく、重い電子系でみられるC/T vs S/Tの関係が全く成立しないことを実験的に明らかにし、巨大C/Tの原因を4f電子の伝導電子との強相関によるものでなく4f電子の多極子によるものであると推測した。(研究発表の1) 立方晶PrPd_3は2K近傍に磁気転移があることは既知であったが、今回0.5Kまでの低温での磁場中比熱を測定し、磁場中での異常な相図を明らかにし、この原因についても四極子または多極子が寄与している可能性があることを指摘した。(研究発表の2) 立方晶PrCu_4Auについて基礎物性を測定し、磁気転移温度(2.5K)以上の温度で大きい比熱の裾をあること、TNまでのエントロピーが小さいこと、等のことから重い電子系物質と類似しているが、熱電能の測定から、重い電子系的な振る舞いは所謂伝導電子との強相関が原因でないことを提案した。(研究発表の3) AuをAgで置換した同じく立方晶PrCu_4Agの単結晶試料の作製に成功し、電気的・磁気的・熱的な基礎的物理量の結晶方位依存性を測定した。単結晶による詳細な実験研究をしたにも関わらず、未知の種々な異常性により現在のところ研究発表に至っていない。議論・解析を深めて早急に研究成果としてまとめたい。同型のNdCu4Agの単結晶試料作製にも成功し、結晶方位依存性を含んだ詳細な磁場中比熱などの実験研究により相図を確定した。(研究発表の4)
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Research Products
(14 results)