2010 Fiscal Year Annual Research Report
整数量子数を持つ立方晶希土類化合物の単結晶試料作製と多極子相互作用による異常物性
Project/Area Number |
21540356
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石川 義和 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 教授 (20143836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑井 智彦 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 教授 (10251878)
水島 俊雄 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 准教授 (50135000)
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Keywords | 四極子 / 重い電子 / プラセオジム化合物 / 多極子 / 立方晶 / 単結晶 / 整数量子数 / 希土類 |
Research Abstract |
立方晶の結晶対称性を持つプラセオジム化合物で見られる重い電子的異常は、実は、四重極相互作用等の多極子相互作用を起源とした異常ではないか、との推論を基に.プラセオジム化合物で発現する異常の起源を極低温での比熱と熱電能を中心とした実験により明らかにすることを本研究の第1の目的である。 本年度は引き続き、PrCu_4AgとNdCu_4Agの単結晶育成の努力し、2つのRCu_4Ag(R=Pr,Nd)の単結晶育成を成功させた。NdCu_4Agに対しては詳細な磁場中比熱、磁化・帯磁率のデータから磁場-温度の相図を決定した。PrCu_4Agに関しては、新潟大学後藤教授の協力により、超音波による弾性定数の実験を行った。PrCu_4Agは有限の磁気転移温度を持ち、基底状態はΓ5の磁気秩序状態であることが明らかになった。また、無磁場での詳細な弾性定数の実験から低温で大きなソフトニングがあることが見出された。すなわち、PrCu_4Agは、ネール温度をもつ磁気双極子による反強磁性体であると同時に電気四極子による効果が共存する物質として注目される。また、NdCu_4AgのNd元素は半整数の4f電子数をもつクラマース元素であるが、単結晶の結晶方位に依存した磁場中比熱の詳細な実験を行い、PrCu_4Agの非クラマース元素の物質と比較検討した。 更に、本年度は非クラマース元素の立方晶Ho化合物にも挑戦し、HoFe_2Zn_<20>とHoRu_2Zn_<20>をZn fluxにより単結晶試料作製に成功した。詳細な実験がスタートしている。参照試料としてDyFe_2Zn_<20>、YFe_2Zn_<20>の単結晶試料作製にも成功している。現在、我々は、国内での共同研究をも含めて、順調に実験を進めている。更に、次年度に向けて、Grenoble(フランス〉のInstitut Neelとの共同研究の計画を進めている。
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Research Products
(22 results)