2010 Fiscal Year Annual Research Report
低温弱磁場超伝導状態におけるマイクロ及び多段フラックスジャンプ発現機構の解明
Project/Area Number |
21540357
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
天谷 健一 信州大学, 教育学部, 教授 (70261279)
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Keywords | 異方的超伝導 / フラックスジャンプ / 磁化 / ピニング |
Research Abstract |
スピン三重項超伝導体Sr_2RuO_4やUPt_3に磁場を[001]方向に印加し磁化測定を行なうと,極低温下においてゼロ磁場近傍でヒステリシス磁化に多段のマイクロフラックスジャンプが起こるが,この現象は,スピン三重項超伝導体中の超伝導ドメイン構造に深く関連していると考えられる.一方,スピン一重項超伝導体の場合にもゼロ磁場近傍で多段のフラックスジャンプが観測されているが,Sr_2RuO_4やUPt_3の場合と比較して,そのフラックスジャンプの大きさが格段に大きいという特徴を持ち,上記のスピン三重項超伝導体のフラックスジャンプと明らかに異なっている. 本年度は,GM冷凍機の改良を現在行ない,無負荷の状態で最低到達温度を1.8Kまで下げられるようにした.さらに,昨年度申請した電磁石を用いて交流磁化測定装置および磁化測定装置の立ち上げを行っているが,現在熱流入の問題があり,試料を2K以下に保った状態で測定を行なえていない.また,Sr_2RuO_4やUPt_3のマイクロフラックスジャンプ測定と平行して,スピン三重項超伝導体の参照物質として酸化物高温超伝導体YBa_2CuO_7-δを作製し,その電気抵抗および磁化測定を行った.電気抵抗測定より,90Kで超伝導転移していることは確認できたが,超伝導特性があまり良くなかったため,この物質におけるフラックスジャンプを観測することができなかった.現在YBa_2CuO_7-δの酸素アニール等を行っている.
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Research Products
(4 results)